はるか前方にいるカラクサが後ろを振り返る。「そうそう、言い忘れてたけどこの“双六”には特別ルールがあるからね〜」「特別ルール？」「だって、誰が一番乗りでもそれで“双六”は終わっちゃうでしょ？どうやってボク達の勝負に決着つけるのさ」「オ前ガソレ…

「ゼウス、お前は私に勝ったことがありますか？」「いや、ねェな」「は！？」ゼウスの返答に驚いたのはクロウ。「お前あいつに勝ったことねェのか！？どんだけ強ェんだ！」「昔の話だ。俺が“雷帝”になるよりも昔のな」「ええ。ですが、今でもそれは変わりま…

それは一瞬の出来事だった。 全身が燃えたまま倒れるモスキート。その目の前に立つ不死鳥に傷は無かった。「なんだ、パワーは大したことねェんだな」アザの輝きが消え、フェニックスはクロウに戻っていく。「……すげェな。確かに俺の雷と大差ない攻撃力だ」「…

ざわざわと羽根が音を立てて舞う。クロウの周囲には黒い羽根と赤い羽根、そしてゼウスには白い羽根。「傷は治ったけど、もうしばらく刺してろ。そいつの回復力は半端じゃねェからな」「チッ、偉そうに。医者にでもなったつもりか？」「医者なんて絶対になり…

「…ぐ……が、はァッ……！？」小さく拡散していく雷。その中で力無く崩れ落ちるゼウスに、オウガは一瞥もくれずに姿を消した。部屋の隅で震えていたモスキートがゆっくりと歩いてゼウスの前に立った。 「……！！…だ…だから言っただろ！？親分に勝てるわけないっ…

どす黒い液体が辺り一面、まるで勢い良く飛び散ったかのように水たまりを作っている。その水たまりからは毒ガスが噴き出していて、近付くことすらできない。ただ立つだけのこともままならないほどの強風が吹き荒れる“神風の聖域”で唯一、風が吹かないこの場…

「こりゃあすげェな………！超ど迫力！」包帯が千切れて落ちてしまったルインを探していたクロウは、いつの間にか“神風の聖域”最奥地にそびえ立つ巨木の前まで来ていた。その時、巨木の根元の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「あれれ〜！？そこにいる…

ルインから事実を告げられ、やっと謎が解けたジョーカーは、ルインを担いだまま勢いよく走っていた。「痛だだだだ！！手が痛ェェェ！！止まれジョーカー！！！」すると、しばらく走ったところで突然足を止めた。「…………！！？」「ハァ、ハァ、ジョーカーてめ…

「……親分の言ってたこと、当たっちゃったみたいだよ」「お、ルーシャが負けたのか……？」「負けたというか…」「……！…息はあるのか？」「そこまではわからないけど……多分ダメだと思う」「……そうか…」そう言い残して、老人は再び外に出る。 そこは巨木の上端、…

もうもうと巻き上がる砂煙の中、ジョーカー・シェードとルーシャの戦いは砂煙の原因ーー空から降ってきた何者かによって一時中断されていた。「何ダ？」「何か落ちてきた……」「ちっ、やけに邪魔が入るな……！」3人の視線の先、砂煙の中でぼんやりと動く影があ…

「………！！」口をあんぐりと開けて、フラッドはその場で硬直した。しかし、すぐに我にかえって目の前で起こっている状況を整理する。 「まず、ゼウス勝ったんだよね！当然」「見りゃわかるだろ」「それで、その影響でこの木が倒れそうなんだよね」「だから今…

巨木の根元で睨み合う2人。ゼウスと、変わった風貌の男。三角の耳に尻尾、長いひげに鋭い牙と爪。まるでネコであった。 「お前、まだそんなコスプレしてんのか。タヌキ」「あ″ァァ！！？ざっけんじゃねェぞ、てめェェ！！1億歩くらい譲ってキツネって言われ…

ゼウス達が“神風の聖域”で闘っている頃……“神風の大地”にて―――― 「風の荒れようが尋常じゃない……あ！もしかしたら、久しぶりに見れるかも！？」あどけない少女のような笑顔を浮かべ、一人の女が通ってきた道を振り返る。「でもなぁ……あたしが出る幕じゃないし…

「ルイン、お前本気出したのか？」「結構マジだったんだがな……」「そうか…じゃ、俺も最初から本気じゃねェとな……！」そう笑うクロウの体には、大きなアザが無数に浮かんでいた。 「お前…本当に大丈夫なのか？」「だから言ってんだろ！？今日の俺は最高潮に……

しばらく睨み合った後、フラッドは溜め息をついた。「…あのさ〜、寝言は寝てから言うんだよ？」「はて？何か変なことでも申しましたでしょうか？」「ゼウスより強いって言ったよね〜？」「はい、それが何か？」 次の瞬間、フラッドが踏み込んだ。「ふざけて…

「う〜ん……」難しい顔付きのフラッドにゼウスが声をかける。「？……どうした？」「不思議なんだ〜」「不思議？何が？」「水を近くに感じないんだよ〜。水脈があるはずでしょ〜？」「ねェよ。ここに植物が生えない理由は天候だけじゃねェんだ」「え！？それじ…

巨大な鎌を片手で持つその姿は凄まじい迫力があり、ドクロの仮面の下からルーシャの目が不気味に輝いているのが見える。「…とは言っても、すごいね……まさに死神だよ…！」「ナンダ、怖気ヅイタカ？」「まさか！楽しみでしょうがないよ…この圧倒的な力をどうや…

ゼウス、フラッドと別れて来た道を戻るウインド。今までの追い風は向かい風となり、足が中々前に進まない。 「結構キツいな…。ジョーカーの奴、どこに行ったんだ！？」必死になって走っていたウインドは、ふと足を止めた。「何だ？今、何か聞こえた……？」「……

“神風の聖域”の中間地点とも呼ばれている、唯一のオアシス。植物はないがそこには清らかな水が湧き出ていて、どういうわけか、そこだけは天災の影響が全く及ばない。 「こんな場所があるんだね〜」「話には聞いていたが、来るのは俺も初めてだ」「ジョーカー…

不敵に笑いながら男は近付いてくる。「シシシッ…さあ、誰から殺してやろうか？」「お前も相変わらずだな、ルーシャ」「お前こそ“死斬”を見切れるとは、衰えてねェな」 ただならぬ雰囲気の中で言葉を交わす2人に、4人はまたしても割り込めなくなっていた。「…

モスキートの相手をルインに任せ、5人は先に進む。 「ねえゼウス〜、さっきの奴は誰〜？知り合いなんでしょ〜？」言われたゼウスが口を歪ませる。「昔、俺はこの“神風の聖域”で修業をしていた……ジジイの元で暮らし、5年間この環境で鍛えてたんだよ」「それは…

「なんちゅう威力……！“大龍巻”が一瞬で消えちゃったよ…」「誰だ！？」突然の声に6人が振り向く。 「久しぶりだね。ゼウス」声の主は微笑みながら言った。その顔を見て、ゼウスの顔つきが変わる。「……！！お前、まだジジイの面倒見てたのか。物好きな奴だな」…

「親分、ゼウス達が“神風の聖域”に入りました！」「ほう……なかなか速いじゃねェか。だが、そこはもうお前が知る修練場じゃねェ…！お前の実力を見せてもらおうか……！！」 ガハハと笑い、老人は拳を地面に叩き落とす。 「“疾風怒濤”……！！さあ、ここまで来てみ…

“神風の大地”を進むゼウス達は、鎌を持ったイタチの群れに道を阻まれていた。「なんだこりゃ……昔はこんな奴らいなかったぞ！」「ここは俺に任せろ。“風拳”！！」 ウインドが構えると、周囲の風が両手に巻き込まれていく。「……！“白虎烈風”！！！」巨大な風は…

強風が吹き荒れる“神風の大地”では、一年中止むことのない強風の影響で植物が全く育たない。しかしその奥地、すさまじい暴風が吹き荒れる“神風の聖域”の最深部には一本の巨木がある。 吹き荒れる暴風をものともせず、その根は地下何百キロまで、その幹は遥か…

“炎帝”マグナと、“雷帝”ゼウス率いる謎の組織の死闘から５年。マグナとの闘いで圧倒的な力の差に敗北を悟り自害したゼウスは、どういうわけか生きていた。 いや、生きていたのはゼウスだけではなかった。「マグナは死んだが、初代“炎帝”の力はすでに何者かに…

何回やっても何回やってもログインできないので、携帯から更新してますwwただ、携帯から更新するとコメント欄が表示されないんだよなぁ。最悪の場合コメントできなくなるかもしれないですが、KIRBYストーリー Another“雷と風”を更新していきます。よろしくお…

どーも、ひろとしです。 「KIRBYストーリー Another“炎と氷”」完結から2週間が経ちました。完結したってのに、なかなか謎だらけですねww それで、本題ですが「KIRBYストーリー」第2章についてです。 現在の状況を報告しますと、まだ名前すら決まってない上に…

「………そっか。あれから2年も……それで体が成長してんのか」 2年前の戦いから今までのことを、ターミナルから説明されて納得したように頷くフレアは、しかし不思議がるように疑問を投げかけた。 「でも、なんで2年も経っちまったんだ？ターミナルは“魂統合術(…

“魂統合術(ソウル・コンタクト)”の失敗、そしてフレア、スノーの死亡という訃報は復興しつつある王国を絶望に陥れた。それでも、国民達は諦めずに生きる道を選んだ。自身の命と引き換えに王国を守ってくれたマグナ達の意志を絶やさぬよう、強く生きた。 しか…