Star of Aqua
炎がクロウを包み、膨れ上がっていく。「来るわね……!」ルルナの表情も険しくなる。「“不死鳥(フェニックス)”……!一気に決めるぜ!」炎が消え、現れたクロウには赤いアザが浮かんでいる。「この姿も1年ぶりだ……フレアの野郎に見せてやるつもりだったが、お前…
笑顔を見せて走り去っていくドロップにターミナルは何も言えず、ただ彼女の後ろ姿を見つめていた。「ドロップさん……約束よ……!」小さく呟き、ターミナルは小屋に戻る。それはドロップではなく、自分に向けて誓うような一言だった。「……やられたな」始水の塔…
扉の隙間からわずかに顔をのぞかせて不気味に笑うジョーカー。それは一瞬でターミナルに恐怖と絶望を与えた。「あの娘は……どうしたの……?」「水のコのこと?ケケケッ。聞かない方がいいと思うよ〜?」「………!!」血の気が引く。ジョーカーがここに現れた時点…
冷たく虚ろな目でゼロを見据えるティック・0・ギャラナイ。その視線にゼロは疑問を抱き、思考する。「(敵意とも殺意とも違う……目の前の私を敵とは思っていないのか?奴は私達を倒すためにその姿を解放した。事実、私達に攻撃を仕掛け、ゼロツーを圧倒してみ…
「………!?」「……何かヤバそうな感じだな」路地を走って街の中を進んでいたリボンとクルラは、異様な雰囲気を感じて足を止めた。「この感じ……!クルラさん、私……」「……俺達の都合もある」「でも……!」「だから、さっさと済ませてきな」「……!……はい!」リボン…
地面に叩きつけられたゼロとゼロツーはすぐさま飛び上がり、態勢を立て直す。「……調子に乗るなよ、ガキ共」「だってさ、カービィ」「え、ギャラのことじゃないの?」「2人共だ、ガキ共!」ゼロが紅い弾をカービィとギャラの周囲に展開し、爆破する。「これで…
「カービィを見つけておいて、貴様は何をのんびりしているのだ」「意外な奴がいたのでな。覚えているだろう?カービィの隣にいるガキだ」「……!?ギャラ……か!?」ゼロツーは明らかに動揺した様子を見せた。「……久しぶりだね、ゼロツー」「まだ生きていたと…
「………ん……」目を覚ますと、そこはどうやら民家の中のようだった。「私……なんでこんなとこに……」「あ!気が付いたんだね!」突然の声に振り向くと、リボン付きの帽子を被った少女が座っていた。「あなたは……?」「あたしはキャスラ。あなたは?」「……私はルル…
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいい!!」悲鳴も空しく、ティックはカービィを引きずってゼロの攻撃を躱していく。「痛いって!石造りの地面を引きずるのは痛いってええええっ!!」「カービィ、もうちょっと堪えて!」「もうちょっとっ…
「なあ、お前は強いのか?」「自分で自分を強いと言えるほどの実力を持ってる自信はないよ」「……そうかよ。なら他を当たるか」「その前に、ボクから1つ聞きたいことがあるんだけど」「なんだよ。オレは早く戦いてェんだ、手短にしろよ」不機嫌そうな顔で質問…
ベネティの上空で極大のレーザーが放たれた。戦っていた者もそうでない者も、皆一様に空を見上げた。そしてレーザーは次第に細くなり、やがて消えた。「……ほう」ワープスターを盾にレーザーを防いだのか、その陰からカービィとギャラが顔を覗かせていた。「…
「……な、なんですか……それ……」そう呟き、リボンは怯えるような目でクルラを見つめた。「……まあ簡単に信じられる話じゃねェよな。だけど、全て事実だ」「…………」黙り込み、俯く。今まで信じられないような自体に直面したことは何度かある。しかし、クルラから…
始水の塔最上階ではウインドが水晶玉を破壊しようと拳を振るっていた。“風拳”が放たれる度に凄まじい風がベネティ上空で吹き荒れる。「クソ……なんだこの硬さ……!これだけの“風拳”でもビクともしないとは……」「何ヤッテンダ、オ前ニシチャア派手ニヤルジャネ…
キン、と音を立てて刀が鞘に納まる。ルインの身体はぐらりと揺れて倒れた。シュラが振り返って見ると、倒れたルインの身体はピクリとも動かず、斬り口から流れる血は大きな血だまりとなり広がっていく。「……壱ノ型“刹那”。1秒にも満たないほどの一瞬の内に相…
始水の塔の真下、地下に存在する葬水の塔。そこを守るシュラと、突如現れたルインの戦いは壮絶なものとなっていた。「ハア……ハア……ぐっ、なんなんだ貴様!?その力は!!」「言っただろ?破滅だよ……!」ルインはニヤリと笑う。それを睨みつけるシュラの身体…
「グオオ……おい、ジョーカー」「何?」「本当にこの小娘が“水帝”の力を引き継いでんのか?」「いや、そこまでは言ってないよ。ボクと変わらないくらいの歳なのに、水を操る力だけならフラッドさんを確実に上回ってたから可能性はあると思ったんだ。でも、見…
宙に浮かぶ泡が雨によって花火のように破裂し、敵を吹き飛ばす。1つの泡の破裂がさらなる泡の破裂を誘発し、雨がさらに泡を破裂させて、連鎖していく。「“泡沫・雨花火”!!」一度嵌り込んだら、その連鎖から逃れることは不可能に等しい。たとえ、“イカズチ…
リファイムと名乗った青年は、無表情のまま両手を振った。それと同時に炎が周囲の赤い弾を焼き払い、爆発させた。「ほう…(手の動きと炎の動きが同調しているのか。しかも、相当に洗練されているな…面白い)…だが、その程度では私には敵わんぞ!」ゼロはさらに…
ゼロは周囲を見回し、ティックの存在を確認する。「跡形もなく消えたか、それとも上手く逃げたか……どちらにせよ、気配は感じないな……まあ、いい。狙いはカービィだ」目線を遠くへ向けて新たな標的を探し始める。しかしその目はすぐに止まり、ただ一点を見つ…
「特製の麻酔を使っても大した時間稼ぎにはなってくれそうもないわね……」眼帯を外したターミナルはフレアの身体を眺めながら呟く。眼帯に隠されていた右目に生気はなく、目の周囲には火傷の痕。「……これはほんの微量でも死に至るほどの猛毒ね…しかも、それを…
空から降りてきた“イカズチ団”の1人、ウインドは始水の塔を見上げていた。「まあ、とりあえずはここだな……」一言呟いて塔の入口に差し掛かった時、背後から猛スピードで突っ込んでくる者の一撃がウインドを直撃した。そのまま塔の内部に突撃する。「……がッ!…
“イカズチ団”の精鋭5人が噴水広場に降り立つ。「さて、どこにあるか……」「シラミ潰シニ探スシカナイダロウ…」「ま、焦らずいこうぜ。予定より早い出撃だ、時間はある」「どうせ分かれるんだし、これくらいの広さならすぐ見つかるでしょ〜」「んじゃ、さっさ…
突然街の中に現れた骨の蛇。それを包み込む炎、何かが勢いよく街の外まで吹き飛んでいく。その様子はドロップを除く、街にいる全員がその目で見ていた。「何だ……!?あれは…」「骨?の蛇…?」「あ、燃えた」「あの炎は……!チッ、バカが!」「シュラさん!行…
「さてと……マスターソードを取り戻したことだし、次の作戦だ…!」走り出そうとしたシャドーは、すぐにその足を止めた。「……マジか…思いっきりやったんだけどな…」シャドーは振り返らずに呟く。そこにはダークマターが浮かんでいた。「…………」「さっきとは形勢…
「何…なのだ……何が…起こった…」煙を吐き、身体が痺れて動けないダークマターはシャドーを睨みつけた。「…さっき言ったろ、俺の弱さは戦略で補うって。全部作戦だったんだよ」シャドーはゆっくりとダークマターに歩み寄る。「“ミラー分身”は目くらましの為じ…
無数のシャドーがダークマターを取り囲む。どれも全く同じ、何の違いもないシャドーカービィの姿。「本物…か。全く、この剣の力をまだ理解していないようだな…!」「!?」「この程度…一振りで全てなぎ払えばよいのだからな…!」ダークマターは剣を構え、そ…
突然のことだった。空を覆う黒雲の、その一部が弾けた。そこからダークマターが煙を纏って地面に落ちていく。「…え!?」カービィは空中で止まり、その様子を見ていた。しかし、カービィが驚いたのは落ちていくダークマターに対してではなく、それを追うよう…
「ギャラ……!?なぜ貴様がここにいるのだ…!?」ゼロは信じられないとでも言うように問い掛ける。「ちょっと用事がありましてね…それより、なぜゼロ様はベネティに?」「私はカービィを始末しに来たのだ。ここにいる可能性が高いのでな」「……本当だ」「ん?…
最初に気付いたのはギャラだった。ぞくっと身体を震わせる。冷や汗が出てきたところで、カービィが気付いた。「ギャラ?どうしたの?」「この感じ……」「え?」カービィが聞き返した時、その他の面々も感付いた。「何これ…!?」「ただならぬ気配……!!」「ま…
リボンがポップスターを飛び立った頃、ウルルンスター“水の都”ベネティにて…「“イカズチ団”の襲撃は2日後か……あ」ドロップが呟くと、周囲の空気が引き締まった。準備を進める面々だが、不安は拭えない。「長いようで短いね、3日って」「あのガキもまだ動けん…